2級管工事施工管理技士 過去問
令和5年度(2023年)前期
問52 (ユニットF 問4)

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問題

2級管工事施工管理技士試験 令和5年度(2023年)前期 問52(ユニットF 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

ダクト及びダクト附属品の施工に関する記述のうち、適当でないものはどれか。
適当でないものは二つあるので、二つとも答えなさい。
  • フレキシブルダクトは、吸込口ボックスの接続用に使用してはならない。
  • 変風量(VAV)ユニットの上流側が整流でなくても、風量制御特性に影響を及ぼすことはない。
  • 浴室の排気に長方形ダクトを使用する場合は、ダクトの角の継目が下面とならないように取り付ける。
  • 送風機に接続するたわみ継手のフランジ間隔は、たわみ量を考慮し決定する。

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この過去問の解説 (2件)

01

ダクト及びダクト附属品の施工に関する問題です。

選択肢1. フレキシブルダクトは、吸込口ボックスの接続用に使用してはならない。

フレキシブルダクトは、吹出口や吸込口ボックスの接続用に使用されます

 

フレキシブルダクトは、吹出口および吸込口ボックスの接続用として使用され、不燃材料で、可とう性、耐圧強度と耐食性があり、グラスウール製と金属製で多くの種類があります。

吹出口及び吸込口ボックスの接続には、1.5m以下で使用し、湾曲部の内側半径はダクト半径以上とし、有効断面を損なうことが無いようにします。

選択肢2. 変風量(VAV)ユニットの上流側が整流でなくても、風量制御特性に影響を及ぼすことはない。

変風量(VAV)ユニットの上流側が整流でないと、風量制御特性に影響を及ぼす

 

VAV方式は、送風温度を一定とし、各室ごとに設置した端末の風量制御ユニットで、送風量を変化させる方式です。

VAVユニットには風速センサーや絞り機構、ダンパーが付属し、部屋の負荷変動に対し、風量を制御します。そのため、VAV上流の風量が安定していないと、VAVの風量制御が安定しません。

選択肢3. 浴室の排気に長方形ダクトを使用する場合は、ダクトの角の継目が下面とならないように取り付ける。

問題文の内容通りです

 

ダクトのシールは、空気漏れ防止、雨水侵入防止などのためで、シリコンゴムなどでシールし、シールの方法は次のようになります。

Nシール:ダクト接合部のダクト折り返しの四隅部のシール

Aシール:ダクト縦方向のはぜ部のシール

Bシール:ダクト接合部のシール

厨房や浴室のような多湿箇所の排気ダクトは、Nシール+Aシール+Bシールとし、ダクト継目部に水滴が溜まるのを避け、継目を下面とならないようにします。

選択肢4. 送風機に接続するたわみ継手のフランジ間隔は、たわみ量を考慮し決定する。

問題文の内容通りです

 

遠心送風機とダクトの接続には、送風機の振動をダクトに伝えないように、たわみ継手を用いて行います。

たわみ継手のフランジ間隔は、内部圧力で大きく変形し、長すぎると垂れ下がり、短いと防振効果が減るため、機器ごとにたわみ量を考慮して決める必要があります。

 

送風機の番手とたわみ継手の長さの標準値を、参考として下表に示します。

型番~3番3・1/2番~5・1/2番6番~
軸流形径~450500~800850~
長さL(mm)200250300

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02

ダクト周りの施工でよく問われるのは次の4つです。

フレキシブルダクト:端末機器との短距離接続用(長く使わない)

VAVユニット:上流側を整流しておかないと風量制御が乱れる

浴室排気ダクト:継目(シーム)下面禁止+防水シール

たわみ継手:振動吸収のため、たわみ量を考慮してフランジ間隔を決める

空気の流れ・振動・結露水をどう扱うか、という視点で見てみましょう。

選択肢1. フレキシブルダクトは、吸込口ボックスの接続用に使用してはならない。


フレキシブルダクトは、吸込口ボックスの接続用に使用してはならない。

 

フレキシブルダクトは、

吹出口、吸込口ボックス、レジスター

など、端末器具との短距離接続用として 一般に使用されます。

目的としては、

・位置ずれの吸収

・振動の緩和

・施工性の向上

ただし、注意点があり、

・長さは極力短く(目安 1.5m以下)

・曲げ半径は大きく(潰さない)

・ねじれ・折れを作らない

といった条件を守る必要があります。

選択肢2. 変風量(VAV)ユニットの上流側が整流でなくても、風量制御特性に影響を及ぼすことはない。


変風量(VAV)ユニットの上流側が整流でなくても、

風量制御特性に影響を及ぼすことはない。

 

VAV(Variable Air Volume)ユニットは、

内蔵風量センサーの検出値をもとにダンパー開度を自動制御し、
室ごとの風量を調整する装置です。

そのため、上流の気流が乱流状態だと、

・風速センサーの値が不安定になり、設計どおりの風量制御が

 困難になります。

よって、VAVユニット上流には

・一定長さの直管区間(整流距離)を確保する
もしくは

・整流板などの整流装置を設置する

必要があります。

選択肢3. 浴室の排気に長方形ダクトを使用する場合は、ダクトの角の継目が下面とならないように取り付ける。


浴室の排気に長方形ダクトを使用する場合は、ダクトの角の継目が

下面とならないように取り付ける。

 

浴室排気は湿気が多く、ダクト内で結露水が発生しやすい系統です。

・長方形ダクトの角部には、板金の継目(シーム)があり、
 ここが下面にくると、水が溜まりやすくなり

  漏水・腐食・汚れの原因 になります。

そのため、

・シームが下面に来ない取り付け方向にし、

 さらに Nシール+Aシール+Bシール などで水密性・気密性を確保する

のが標準的な施工です。

選択肢4. 送風機に接続するたわみ継手のフランジ間隔は、たわみ量を考慮し決定する。

送風機に接続するたわみ継手のフランジ間隔は、たわみ量を考慮し決定する。

 

たわみ継手は、

・送風機とダクトの間に挿入し、振動の伝達や

 据付誤差・熱膨張による変位を吸収するための部材です。

このため、

・フランジ間隔(たわみ継手の長さ)は、
 メーカーが定める許容たわみ量・据付条件を踏まえて決定 します。

長すぎると垂れ下がり・変形・鼓動などが発生しやすくなり、

短すぎると振動吸収効果が小さく、据付誤差も吸収できません。

まとめ

・フレキシブルダクト:端末器具との短距離接続に使用可(ただし長く使い過ぎない)。

・VAVユニット:上流側は整流必須。乱流状態は制御誤差の原因。

・浴室排気ダクト:シームが下面に来ないように向きを決め、シールで防水気密確保。

・たわみ継手:許容たわみ量を考慮してフランジ間隔を決定。

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